手首を後ろ手に組み、縄がかけられた時から何となく感じていました。
いつもと違うと。
講習会や練習会で、いろんな人の縛りを見たり、新しい縛り方を教わったせいもあるのでしょうが、それよりも、なによりも、あなたの縛りに対する強い『想い』が伝わってきたのでしょうか。
あなたのその『想い』は、指先から縄を伝い、素肌に浸透し、やがて確かに私の『想い』と一つになりました。
厳しい縛りが、一重、二重と重ねられていく度、悦びを抑えることができませんでした。
縄尻を追うあなたの眼差しは真剣で、凛として澄んでいて、声をかけるのが憚られるほど。
あなたの『想い』に負けないように、真剣に縄を受けました。
だから、解かれる時もいつも以上に寂しさを感じたのでしょうか。
あの時ついた痕に触れてみると、温もりが伝わってきそうです。
あなたの心が私に染み込んできたから…
あなたは私と共にいます。そして、私もあなたといます。
二人はずっと常夏の国の住人です。