「もう一度いいですか?」
貴女は私の体を気遣いながら訊ねる。
そういう時は、もちろん即座に「はい」と答えます。
痩せ我慢ではなく「また縛ってもらえる」「もう一度受けられる」という悦びの方が強いのです。
何度も反復練習を繰り返し、腰には初めて施された股縄が食い込みます。
ゆっくりと上体を前に傾け、徐々に足が床から離れると、あっけないほど簡単に私の体は宙吊りになりました。
ギリギリギリ・・・
一斉に麻縄が私の周りで騒ぎだし、不思議な平衡感覚に包まれます。
その日は貴女に初めて吊られた日。
だから、その日は吊り記念日です。
「辛抱強いね」
誰かが声をかけてくれました。
私にとってはそういうことではなく、単純に一分一秒でも長く貴女の縄を受けていたかっただけなんです。